第8章 身体の関係●
「…やっと帰って来た。」
佐久間さんは眠そうな瞳を擦りながら、ため息混じりにそう言った。
ふふっと笑いながら、大きく伸びをする。
そんな佐久間さんを見ていると、激しい後悔と自己嫌悪に襲われた。
私の中に芽生えた罪の意識。
「…ごめんなさい。」
気が付くと、自然と謝罪の言葉を口にしていた。
そんな私の左手を、佐久間さんは毛布の中から手探りで見付け出してくれた。
大きな手に包まれ、私の心臓は鼓動を早める。
佐久間さんは少しすねたような表情を浮かべるも、すぐさま柔らかな笑顔に変わった。
「どこか泊まったの?」
「あ、はい。同僚の家に…。」
「何かあったのかと思って心配したんだよ。」
「すみません…。」
繋いでいた手が急に引き寄せられる。
「おいで。」
そう言って佐久間さんは私の身体を抱き寄せた。
暖かい毛布の中、佐久間さんは私の身体の上へと覆い被さる。
逃げ場を無くした私は、あまりにも近い佐久間さんとの距離に目眩をおこした。