第8章 身体の関係●
その緊張感は心地好い胸の締め付けとなり、私の恋心に拍車をかける。
昨日の夜…もし仕事を終えてすぐに帰って来ていたなら、私は佐久間さんと結ばれたのだろうか。
どんなふうに唇を重ね、どんなふうに抱かれたのだろう…。
想像をしただけで身体の奥がキュっと強く締め付けられた。
その時だった。
突然佐久間さんの目が開いた。
私の視線に気付き、目を覚ましたのか。
それとも私が帰宅した事に初めから気付いていたのか…。
ぼんやりとしている様子だが、佐久間さんの瞳は確かに私を見つめている。
不意をつかれ、目をそらす事さえ出来なかった私は不本意にも佐久間さんと見つめ合ってしまった。
眠ったふりなどもう出来ない。
佐久間さんの子犬のような瞳から逃れる事など不可能だ。
今ここで「ごめんなさい。」と謝罪するべきか。
眠たそうな佐久間さんの瞳。
その瞳にはわずかに寂しさのような感情が滲み出ているように感じた。