第8章 身体の関係●
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始発に乗り、マンションへと戻った時にはすでに外が明るくなっていた。
音を立てぬよう、ゆっくりと玄関のドアを開ける。
綺麗に揃えられた靴が目に入る。
それは昨日の朝、佐久間さんが履いて出掛けた物だ。
佐久間さんは約束通り、昨日は早く帰って来てくれたのだろうか。
そして…私の帰りを待っていてくれたのだろうか。
自分の勝手な行動で佐久間さんを傷付けてしまった。
さすがにもう眠ってしまっているだろうが、自分の愚かさに嫌気がした。
愛美先生にはたくさんの“お叱り”を受けた。
それと同時に、こんな私の顔へと素敵な化粧を施してくれた。
今回の件に関して言えば、私の自信の無さからくる劣等感からの行動だった。
そんな私の顔に、愛美先生は魔法をかけてくれたのだ。
靴を脱ぐと、玄関の壁にある姿見を見つめた。
いつもよりもはっきりとした瞳。
手付かずだった眉毛は淡い太目の眉毛へと変わった。
桜色の唇に、上気したような頬。
全てが新鮮で驚いた。