第8章 身体の関係●
「どう?気になる色はあった?」
「これ…素敵ですね。」
「良いね、似合いそう。」
小さな箱の中から、私は一つのボトルを選んだ。
まるで故郷の桜を思わせるピンクのマニキュア。
ほんのりとパールの入ったそのマニキュアは、角度を変えると七色の光をまとった。
「昔はよく友達に塗ってあげてたの。」
そう言いながら愛美先生は私の足の爪へ、丁寧にマニキュアを塗ってくれた。
色気の無い足元が一気に華やいで見える。
心がときめく。
私にも少なからず女性的な部分があったのだと驚いた。
「橘先生はさ、素材が良いんだからもっとお化粧変えてみたら?」
「…素材?」
「そう。
目の形も綺麗だし、鼻筋も通ってるし。
学校では仕方ないけれど、お休みの日とか彼といる時は少し意識して変えてみたら、きっと気持ちも前向きになれるかもよ。」