第8章 身体の関係●
しばらくすると、暗闇の中から佐久間さんの寝息が聴こえてきた。
私は一体何を期待していたのだろう。
佐久間さんにその気はなかった…。
私にお風呂へ入るように勧めたのも、ただ自分が早く眠りたかっただけだったのか。
そもそも佐久間さんは出会った時からマイペースでどこかつかみ所が無い人だ。
そんな佐久間さんが“今日はお風呂先に入りなよ”などと言って誘ってくるはずなどない。
…私の勘違い。
悶々とした思いを抱えながら、勢いよく頭から毛布を被った。
それと同時に、数日前の高杉さんの言葉を思い出す。
“恋人なのに抱いてもらえてないんでしょ?”
やはり…佐久間さんは私と身体の関係をもつ事を避けているのだろうか?
面を食らってしまった私はなかなか寝付けず、佐久間さんの愛らしい寝顔を眺めながら酔いを冷ますだけの夜を過ごした。