第8章 身体の関係●
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寝室のドアがゆっくりと開いた。
ベッドの脇に置かれた間接照明の薄明かりの中、佐久間さんがこちらへやって来るのが見えた。
どれだけ時間をかけようとも心の準備は出来ぬままだ。
何度も頭の中で手順を確認したが、そんな事はもう無意味だろう。
私は大学時代からの恋人であった亮太としか関係を持った事がない。
すなわち、亮太とのセックスしか知らないという事だ。
相手が変わればセックスも変わる。
佐久間さんと私のセックス…。
今夜こうして愛する佐久間さんと結ばれる。
ベッドへと入ってくる佐久間さんを横目でチラリと見る。
その瞬間視線が交わり、胸を締め付けられるような息苦しさに襲われた。
そんな私の顔を見ながら、佐久間さんは優しく微笑む。
「おやすみ。」
そう言って佐久間さんは間接照明の明かりを消した。