第8章 身体の関係●
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佐久間さんがお風呂から上がる頃、私はベッドで横になっていた。
ほんのりとお酒に酔い、気分が良い。
これから始まるであろう甘い一時を想像し、身体は熱くなるばかり。
それと同時に不安も込み上げる。
私の身体に幻滅しないだろうか。
不慣れさに気付かれやしないだろうか。
声を出し過ぎて引かれてしまわないだろうか。
お互いに気持ち良く終われるのだろうか…。
バスルームのドアが開く音がした。
間もなくしてドライヤーの音が聴こえてきた。
“その時”は刻一刻と迫っている。
しかし、そんな私を知ってか知らずか、佐久間さんは洗面所から出てくるなりリビングのテレビを付けた。
ニュースでも観ているのだろうか。
なかなか寝室へやって来る気配はない。
天気予報を告げる音声だけが聴こえてくる。
佐久間さんもまた私と同様に緊張しているのだろうか。
ベッドの中、そんな妄想を膨らませていた。