第8章 身体の関係●
「今日はお風呂先に入りなよ。
食器、洗っておくからさ。」
そう言って佐久間さんは空いた食器をキッチンへと運んでくれた。
いつもなら二人でテレビを見ながら片付けをしていたが、今日はどうしたのだろう。
これから何かあるのだろうか…。
心臓がトクントクンと鼓動を早める。
私が早くお風呂へ入って欲しいなんて…
それはもう「しよう」と誘ってくれているようなものだ。
派手目な下着を身に付けた方が良いのだろうか?
しかし、私には男性が喜びそうな下着など1枚も持っていない。
こんな事ならば愛美先生に下着を見立ててもらえば良かった。
大学時代からの恋人である亮太と別れてもう1年…。
何をどうしていいのかわからない。
それでも、緊張や不慣れさに気付かれたくはない。
それは25年生きてきた女の小さなプライドだ。
何も知らない10代の若者とは違う。
私達は大人の男と女…。
「…じゃあ、先に入りますね。」
「うん。」
どうか自然な流れで出来ますように。
そう祈るようにバスルームのドアを開けた。