第8章 身体の関係●
「そういえば…高杉と何か話した?」
「…高杉さんですか?」
「そう。この前来てたじゃん。
何か“大事”な話とか。」
佐久間さんはそう言いながら箸を止めた。
“大事”な話…とは何の事だろう。
私の事を気遣ってくれているのだろうか。
高杉さんとは特に立ち入った話はしていない。
したとすれば、私と佐久間さんの身体の関係についてだ。
“恋人なのに抱いてもらえてないんでしょ?”
空気の読めない高杉さんの言葉が頭をよぎる。
佐久間さんは私が傷付くような事を言われなかったか心配してくれているのだろうか。
しかし、それならばもう遅い。
私の心は高杉さんという人間を完全に拒否してしまっている。
出来る事ならもう二度と会いたくないと思う。
「特に何も…。」
「そっか。それなら良かった。」
佐久間さんの優しい目元がより一層優しさを増す。
高杉さんの事は忘れよう。
佐久間さんの笑顔に私は弱いのだ。