第8章 身体の関係●
「たまたま知り合った人なの。
笑顔が可愛いくて…何か意気投合しちゃって。
一緒に食事をしてお酒を飲んで、ホテルに送ってもらったんだ。
都内に住んでる人で、連絡先を交換したんだけど。
メールや電話は頻繁にするんだけどね、なかなかデートまでたどり着かなくて。
まだ一度しか会った事がないのに、おかしいかな?」
「おかしくないですよ。
回数や時間なんて…関係ないです。」
「橘先生に色々と言っておきながら…どうかしてるよね。
でも、彼の事が頭から離れなくて。
恋…なんだと思う。」
そう言いながら頬を両手で包み込む愛美が可愛いく見えた。
まるで恋に恋い焦がれる少女のよう。
私達は目を合わせて微笑む。
“好きな人がいる”
それだけの事が私達をこんなにも愛おしい気持ちにさせるのだ。
「聞いてくれてありがとう。
お互い、上手くいくといいね。」
「はい。」
力になれたかどうかは分からないが、愛美先生の表情はとても晴れやかに見えた。