第8章 身体の関係●
「だからさ、サクちゃんの事は諦めて俺としようよ。」
「ふざけないで下さい!!」
「ふざけてないよ。
俺、先生みたいな娘タイプだよ。
なかなか落ちない娘って構いたくなるじゃん。」
ニタニタ笑いながらこちらを見てくる高杉さんに寒気すら覚えた。
この人とはまともな会話すら出来ない。
この人の心無い言葉をいちいち真に受けていては精神がすり減っていきそうだ。
「俺も出掛けてこようかな。」と、高杉さんはソファーから立ち上がる。
早く帰れと心の中で包丁を向けた。
今日は佐久間さんと二人きりで過ごす事が出来る。
そう思うと疲れ果てていた心がトクントクンと高鳴り始めた。
「俺にもデートする相手の一人や二人いるから。」
高杉さんはそう言いながらコートを羽織り、部屋を出ていった。
全く余計な事ばかりを言う人だと呆れてしまう。
しかし、高杉さんの無神経な一言がどこか気になっていた。
“恋人なのに抱いてもらえてないんでしょ?”
佐久間さんは…私と身体の関係をもつ事を避けているのだろうか?