第8章 身体の関係●
「先生、お茶取って。」
そう声を掛けられ我に返る。
キッチンで夕食の支度をしていた私は、慌てて冷蔵庫の中からペットボトルのお茶を取り出した。
ソファーに座る背中にお茶を手渡す。
「先生ありがとう。」
「一体いつまで居るつもりですか?」
「だってサクちゃんの家、居心地良いんだもん。」
先ほどから高杉さんはテレビのクイズ番組を笑いながら観ている。
今日も泊まっていくつもりだろうか。
さすがに明日は仕事があるはず。
こんな時に限って佐久間さんは出掛けている。
二人だけの時間が苦痛で仕方ない。
とくに話す事もない。
私は夕食の支度を続けた。
「サクちゃんどこ行ったか知ってる?」
「知りませんよ。」
「“デート”だったりして。」
「…え?」
「サクちゃんモテるからなあ。
デートする相手の一人や二人いるでしょ。」