第8章 身体の関係●
“そんなのおかしいよ”
私は彼女の恋を否定してしまった。
恋人がいる人と付き合う…。
何て残酷な行為だろう。
誰も喜ばない、誰も幸せにならない。
向かう先は破滅だ。
村瀬先生は彼女の事をどう思っているのだろう。
ただの遊びか…。
彼女は“幸せ”だと言っていたが、はたしてそれは本心なのだろうか。
彼女はクリームパンを食べ終えると、無言のまま保健室を出ていってしまった。
彼女の恋を否定するという事は、彼女自身を否定する事でもある。
このまま心を閉ざしてしまったら…。
そんな事を思ったが、やはり彼女の恋を応援する事は出来ない。
しかし、私に何が出来るだろう。
村瀬先生に問い詰めた所で彼女が喜ぶはずはない。
それに一体何を話せというのだ。
“小松さんの事は遊びなんですか?”
“小松さんを愛しているのなら、恋人とは別れて下さい”
どれも余計なお世話だろう。
やはり私は彼女の恋を傍観するしかないのか…。