第7章 想い
目覚まし時計が鳴った。
「行ってらっしゃい。」と言いながら毛布に顔をうずめる高杉さんを無視し、寝室を出た。
25歳にもなってこんな事ぐらいで動揺してしまう自分が嫌だった。
大人の女性ならば、軽く受け流す事も大事だろう。
しかし、今まで男性との交流がない生活を送っていたせいか、あんなふうに迫られるとどうして良いのかわからなくなってしまう。
そんな私は、高杉さんにとってかっこうの遊び相手なのだと思う。
高杉さんは佐久間さんの友人であり仕事仲間だ。
これからも度々このマンションへ来る事があるだろう。
何とか対策を考えなければ。
高杉さんに毎度調子を狂わさせられるのは嫌だ。
リビングのドアを開けると、ローテーブルにはビールの空き缶とワインボトルが置かれていた。
よほど酔っていたのだろう。
いつもなら飲み終えた缶やワインボトルはキッチンへと運んでくれていたが、昨日は二人とも飲み過ぎたのかもしれない。