第7章 想い
「先生ってベッドでは積極的なんだね。」
ニタニタと笑いながら、高杉さんは私の手を強く握ってきた。
さっきまで気持ち良さそうに寝息を立てていたのが嘘のよう。
何という寝起きの良さだろう。
早く手を離してもらいたい。
私が繋ぎたかったのは高杉さんの手ではなく、優しい佐久間さんの手だ。
「離して下さい。」
「誘ってきたのはそっちじゃん。」
「間違えたんです。」
「そんな、間違えるかなあ?」
「何であなたがここで寝てるんですか?」
「だってサクちゃん、ソファーで寝落ちしちゃったんだもん。
ベッドで寝るしかないじゃん。」
だからといって“友達の恋人”と添い寝をするなど考えられない。
せっかくの目覚めも台無しだ。
それよりも眠っている間に何かされはしなかっただろうか。
自意識過剰かもしれないが、高杉さんならやりかねない。
とにかくこの手を離してもらわなければ。
もうすぐ目覚まし時計が鳴るだろう。
今日も私は仕事へ行かなければいけない。