第7章 想い
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まるで雲の上にいるようだ。
ふんわりと浮かんで心地好い。
何て目覚めの良い朝だろう。
私は佐久間さんの恋人。
幸せな毎日がより一層輝きを増す。
これから先に待ち受けている未来。
全てが希望に満ちあふれたものに感じた。
目覚まし時計はまだ鳴らない。
もう少しこのまま微睡んでいたい。
隣からは気持ち良さそうな寝息が聴こえる。
今日は手を繋いで眠らなかったようだ。
左手を伸ばし、愛しい佐久間さんの手を握った。
しかし、その手はいつもの繋ぎ慣れた手ではなかった。
私は驚き、慌てて隣を見る。
明るい髪色。
そこで眠っていたのは佐久間さんではなく高杉さんだった。
どうして高杉さんがベッドで眠っているのか…。
泊まっていくとは言っていたが、普通はソファーで寝るものだろう。
少なくとも私は高杉さんにとって“友達の恋人”なのだから、簡単に添い寝をして良い相手ではない。
うかつにも繋いでしまった手を離す。
しかし、私の左手を追うように、高杉さんの手が伸びてきた。