第7章 想い
佐久間さんはフフっと少年のような笑顔を見せた。
「付き合ってるよ。」
その言葉に、私は思わずお玉を落としてしまった。
カシャンという音に驚き、我に返る。
足元で眠っていたコロも飛び起き、ソファーの背もたれへと逃げていった。
確かめたくて仕方なかった想い。
頭を悩まし眠れない日もあった。
私が知りたかった“答え”。
その“答え”を、高杉さんはいとも簡単に聞き出してしまった。
「大切な彼女。」
少し恥ずかしそうに佐久間さんは微笑む。
なんて愛おしいのだろう。
待ち焦がれていた言葉。
その言葉に、今までの不安な気持ちなど吹き飛んでしまった。
“佐久間さんの恋人になりたい”
愚かだとさえ思っていた私の願い事は、こうして好奇心旺盛な高杉さんの発言によって叶ってしまった。
「そうなんだあ。」と、高杉さんはニタニタしながらこちらを見てくる。
しかし、不思議と不快感はない。
あるのは幸せの鐘の音。
なぜなら私は佐久間さんの恋人になったのだから…。