第2章 高校教師
時計を見ると午前2時を少し回ったところだった。
ベッドから起き上がると、携帯電話を片手に部屋を出る。
向かったのは先ほどの男の所。
彼女に対する“罪滅ぼし”という訳ではないが、このまま眠れぬ夜を過ごすのは耐えられなかった。
足早に階段を下りる。
あれから3時間。
さすがにもう、いなくなっただろうか。
風が強くなってきたのか、庭の木の葉が音を立てて揺れている。
携帯電話のバックライトで男がうずくまっていた場所を照らす。
暗闇にぼんやりと浮かび上がる人影。
そこには地面に倒れ込むようにして寝ている男の姿があった。
「あの…歩けますか?」
すぐさま男の身体を揺すりながら、そう問いかける。
「こんな所で眠ったら風邪引きますよ。」
かたわらにはキャップの開いた水のペットボトル。
「向こうの通りに出ればタクシーが走ってますから。」
見ず知らずの酔っ払いを介抱した経験などない。
どう対応するべきかも分からず、ただ男を揺すり起こそうとした。