第2章 高校教師
私は昔から“こうしていれば”という後悔が多い。
生きるという事は、日々何かを選択し続けなければならない。
進路や就職、服の色に食べ物まで。
私達は日々、数多くある選択肢の中からこれだと思う物を選びながら生活している。
“こうしていれば”という後悔は誰しもが経験する事だろうが、私の場合はそれよりも少し厄介だ。
私は選択肢の中から“正しい答え”を探してしまう。
自分が“選択したい”ものと、“選択すべき”ものとは違う。
私は今まで“選択すべき”ものを選んで生きてきた。
それを“正しい答え”だと思って。
だからなのか、私は時々自分が分からなくなる。
選択をした後、時おりもう1人の自分が現れては「それで良かったの?」と問いかけてくる。
その度に激しい後悔と自己嫌悪に襲われる。
小松加奈。
彼女にはもっとかけてあげるべき言葉があった。