第7章 想い
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「へぇ~、君って高校の先生なの?
どうりで賢そうなわけだ。」
高杉さんはビールを飲み干し、愉快そうに笑った。
その横では佐久間さんが空いたグラスにビールを注ぎ、微笑んでいる。
この奇妙な食卓に違和感を感じつつも、佐久間さんに嫌われたくない一心で、私は何とか場の空気に溶け込もうと努力していた。
「サクちゃんも数学得意だったもんね。」
「中3の時にハマったね。」
「今でも覚えてるもん。
俺、頭悪くてサクちゃんにテスト写させてもらったもん。」
「ああ、今で言う“カンニング”ね。」
「いや、昔から“カンニング”は“カンニング”だろ?」
本当に二人は嫉妬するほど仲が良い。
突然現れた高杉さんに驚きもせず、佐久間さんは当たり前のように食事を振る舞った。
「先生、びっくりしたでしょ?」
私へのフォローはその一言だけだ。