第7章 想い
なぜか高杉さんはビールを吹き出しそうになった。
困惑する私などお構い無しにゲラゲラとお腹を抱えて笑っている。
一体何がそんなに面白いのだろうか。
またからかわれているに違いない。
やはり私には高杉さんが全く理解出来ない。
出来上がった豆乳鍋をテーブルへと運んだ。
高杉さんは当たり前のように椅子へと腰かける。
本当に帰るつもりはないようだ。
私は戸棚からもう一人分の皿と箸を取り出し、高杉さんへと手渡した。
その時だった。
リビングのドアが開き、佐久間さんが帰って来た。
いつものように顔をクシャクシャにして笑う佐久間さんを見て胸が高鳴る。
先ほどまでの不快感が嘘のよう。
「ただいま。」と少し慌てた様子ではにかむ佐久間さん。
しかし、その笑顔は私に向けられたものではなかった。
「高杉来てたんだ。」
「しゃべり足りなくてさぁ。」
「いいよ、飲もうよ。」