第7章 想い
「何か良い匂いするね。」
「…え?」
「今日の晩ごはん何?」
「…豆乳鍋ですけど。」
「やったぁ。俺もご馳走になっちゃおう。」
タバコをふかしながら笑う高杉さんに嫌気がした。
そもそも私はタバコが嫌いだ。
佐久間さんも家でタバコを吸う事はない。
つい最近までは学校の屋上でタバコをふかしていたが、やはり私にとってはあまり気分の良いものではない。
高杉さんの態度がより一層タバコへの不快感を強くさせる。
今ここは私の住む家でもあり、唯一安らげる場所だ。
私にも言わせてもらう権利くらいはある。
「タバコ…やめてもらえませんか?」
「どうして?」
「嫌いなんです…タバコ。」
「そう?じゃあ、消すよ。」
高杉さんは持っていた携帯灰皿へとタバコの吸殻を入れた。
部屋に漂う不快な香り。
本当は今すぐにでも立ち去ってもらいたい。
しかし、高杉さんは私の顔をチラリとのぞき見ると満面の笑みを浮かべた。