第2章 高校教師
部屋に戻りベッドへ入る。
今夜は心がざわつき眠れそうにない。
目を閉じてはみるが落ち着かず、何度も寝返りを繰り返す。
目には見えぬ何かに心が支配されてしまいそうな…そんな気分だ。
時計の秒針の音が響く部屋。
時おり、アパートの前を走る車のライトが窓から入り込んでくる。
時間が過ぎるのをただ待っているような夜。
心のざわつきは増すばかりだった。
きっと…
普段であれば、見て見ぬふりをして通りすぎていたと思う。
相手は男性だ。
外で一晩明かしたところで死にはしない。
しかし、放課後の屋上での出来事が心のどこかに引っかかっていた。
もしかするとあれは、彼女なりのSOSだったのではないか。
そんな事すら思えてならない。
今さら考えたところでもう遅いのだが、一度浮かんだ疑問符は、簡単には姿を消してくれない。
こうなった以上、今夜はとことん自分の心と対話する他ないのだ。