第7章 想い
「村瀬先生の彼女って…。」
「私、見たんだよね。
村瀬先生と彼女さんがデートしてる所。」
「友達…じゃなくてですか?」
「うん。
私、挨拶したよ。
そしたら村瀬先生が“彼女”だって。」
「村瀬先生がそう言ったんですか?」
「大学生の頃から付き合ってるって言ってた。
もう婚約もしてるらしいよ。
あ、これは去年の忘年会での席で聞いたんだけどね。」
嘘であってほしい話。
しかし、愛美先生が嘘をついているようには思えなかった。
村瀬先生には恋人がいる。
彼女はこの事を知っているのだろうか。
小松加奈。
彼女が“学校を辞めない理由”と言っていた村瀬先生。
その村瀬先生には恋人がいた。
という事は…彼女が嘘を言っていたのか。
いや、彼女は嘘をつけるタイプではない。
だとすると、村瀬先生が二股を…
そんな事は考えたくないが、愛美先生の話、そして彼女の話を要約するとそういう事になる。
「どうかした?」
「いえ…。」