第7章 想い
いれたてのコーヒーを手渡す。
愛美先生はそれを受け取ると、いつものように椅子へと腰かけた。
いつになく真剣な表情。
彼女の事が心配でたまらないのだろう。
それは私も同じ事。
私達の中で、彼女はとても大きな存在になっていた。
「村瀬先生、今日は寝不足みたい。」
愛美先生は突然そうポツリとつぶやいた。
“村瀬先生”
その言葉に心がひどく動揺する。
愛美先生は彼女と村瀬先生の関係を知っているのだろうか。
私の知らないうちに彼女が打ち明けたのだろうか。
平静を装い、私は愛美先生の向かい側に座った。
コーヒーを一口飲み、愛美先生の言葉を待つ。
正直、彼女のいない所でこんな話はしたくなかった。
まるで陰口。
私は彼女が可愛い。
彼女の恋を、私は陰ながら見守りたいと思う。
「小松さん、時々職員室に来るじゃない。」
「…そうなんですか。」