第7章 想い
佐久間さんはゆっくりとソファーから立ち上がる。
いつもとは違う驚くほど真剣な眼差し。
その眼差しから逃れるように、私は視線をそらした。
次に佐久間さんが口を開くのは“終わり”の言葉だろう。
関係の解消。
傷付きたくないと心は予防線をはる。
思わず目を閉じてしまった。
今は…愛しいはずの佐久間さんの言葉が怖い。
「先生。」
「え?」
突然身体をフワリと抱き締められた。
予想だにしていなかった佐久間さんの行動に、私は小さな悲鳴をあげてしまった。
甘くスパイシーな香りが広がる腕の中。
徐々にきつく締め付けられていく身体。
私は必死で佐久間さんの背中へと手を回すだけで精一杯だった。
一体何が起こったのだろう。
まるで夢を見ているようだ。
佐久間さんの胸に顔をうずめる。
トクントクンと心臓の音が聴こえた。
「俺は先生が大切。」
そう言って佐久間さんは額にキスをくれた。