第7章 想い
また顔色を読まれてしまった。
昨日もこうして“あの男”に顔色を読まれた。
高杉誠。
佐久間さんの友達という事を差し引いても、やはり彼には不快感と不信感しかない。
いや、今は彼の事など関係ない。
今確かめるべきは佐久間さんと私の関係だ。
佐久間さんは私の言葉を待つかのように、ソファーにもたれながらこちらをじっと見つめている。
その視線に胸が締め付けられるほどの苦しさを感じた。
もどかしい。
今すぐにでも佐久間さんの胸に飛び込みたい。
きつくきつく抱きしめられたい。
“私達は恋人”
その確かな言葉が欲しい。
言えぬ想いを胸に秘めながら、佐久間さんの顔を見つめるのが精一杯だった。
「ごめんね、無理言っちゃって。」
「いえ…そんな事ないです。」
「俺、先生の気持ち全然考えてなかったよね。」