第7章 想い
男はまじまじとこちらを見ながら笑っている。
一体いつまでここに居座るつもりなのだろう。
いや、男からしてみれば私の方が“いつまで居座っている”のだろうだ。
これまでの経緯を話すべきか…。
しかし、この男にはどこか不信感を感じた。
「君さぁ、何か面白いね。」
「…え?」
「その“なびかない”感じ?
俺、超タイプ。」
私は思わず言葉を詰まらせる。
さっきから男は何を言っているのだろう。
男の言葉に心が動揺する。
まるでもてあそばれているような不快な感覚だ。
顔を赤らめる私に「可愛いね。」と言って男はタバコを消した。
ソファーから立ち上がる男に、私は身の危険を感じ、身体を強ばらせる。
何かされるのではないか…。
佐久間さんに感じたものとは真逆の感情がうごめく。
男からは悪意しか感じない。
私の最も苦手とするタイプだ。