第7章 想い
男は私の事などお構い無しにタバコを吹かし続ける。
渋く色気のある横顔。
その横顔に、私はうかつにも見惚れてしまっていた。
「ねぇ、サクちゃんとはしたの?」
「え?」
「した?」
「何をですか?」
「セックスに決まってんじゃん。」
「してないですよ!!」
一体何を言い出すのか。
驚きと同時に、怒りにも似た感情がわく。
見ず知らずの男と話すような話題ではない。
しかし、男が佐久間さんの“彼氏”と言っているのだから気になるのは当然の事なのだろうか。
「隣、座りなよ。」
「いえ、結構です…。」
「少し話そう。」
「…話なら、ここで聞きます。」
「つまんないなぁ。」
「え?」
「つまんない娘だなって。」
「そんな言い方…」
「さっきのは冗談だよ。」
「さっきのって…」
「俺はサクちゃんの彼氏なんかじゃないよ。
ただの“友達”。」