第7章 想い
「俺はサクちゃんの彼氏。」
そう言いながら、男は不適な笑みを浮かべた。
私は男の言葉の意味が分からず、ただただ困惑するばかりだ。
“サクちゃんの彼氏”
という事は…佐久間さんは男性が好きという事なのだろうか…。
この男が佐久間さんの恋人…。
「君は?サクちゃんの“ファン”?」
「…“ファン”?」
「違うの?」
「ち…違います。」
「じゃあ何?」
「何って…」
それは私が聞きたいくらいだ。
私と佐久間さんの関係。
恋人でもなければ友人と言うのもどこか違和感がある。
「サクちゃん、猫飼い始めたって言ってたけど、君の事?」
「私は猫じゃありません。」
「サクちゃんなら明日まで帰らないよ。
今頃名古屋。」
「…知ってます。」
男はソファーへ座ると、ジャケットのポケットからタバコを取り出した。