第7章 想い
その時、玄関のドアが開く音がした。
パタンとドアはしまり、誰かが部屋の中へと入ってきたようだ。
佐久間さんが帰って来たのだろうか。
自然と胸の鼓動は早まる。
忘れ物でもしたのだろう。
私は慌ててリビングへと向かった。
「佐久間さん?」
しかし、そう呼び掛けた先に立っていたのは、見知らぬ長身の男だった。
明るい髪色。
まるで海外のモデルかと思わせるほどのスタイル。
手足は長く、顔は小さい。
歳は佐久間さんと同じく40代前半といったところだろうか。
年相応ながらも整った顔は、思わず息をのむほどの圧倒的な美しさがあった。
「…あっ。」
戸惑う私に、男は不思議そうに首をかしげる。
「…誰?」
「…あなたこそ…誰ですか?」
私の問いかけに、男はなぜか少し驚いた表情を浮かべた。
そして、すぐさま考えるような素振りをし始める。
佐久間さんの友人…だろうか。
留守を預かっているのだから、私にはきちんと確認をする義務がある。