第7章 想い
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朝目覚めると、すでに佐久間さんの姿はなかった。
今日も手を繋ぎながら眠っていたのだろうか。
毛布の中の左手がほんのりと熱かった。
コロにご飯をあげ、簡単な身支度をする。
佐久間さんは今頃、新幹線の中だろうか。
昨日預かっていたシャツを洗おうと洗面所へ向かう。
ほのかに感じる甘くスパイシーな香り。
その香りに、私はまた胸を熱くさせた。
「…佐久間さん。」
名前を口にするだけで心が震える。
想いは募るばかり。
息苦しささえ感じる。
私は…一体どうすればいいのだろう。
佐久間さんのシャツをきつく抱き締めた。
まるで佐久間さんの腕の中にいるような感覚だ。
めまいがするほど、私は佐久間さんが愛おしい。
“恋人になりたい”
そう強く強く思った。