第7章 想い
「コロに会えなくなるのは寂しいな。」
佐久間さんはそうつぶやきながらコロを抱き上げた。
寂しいのは私の方だ。
片時も離れたくはない…そう強く思う。
「お土産楽しみにしててね。」
「あ…はい。」
「先生がいてくれて良かったよ。」
「…え?」
「誰かが家で待っててくれるって、嬉しいもんだよ。」
顔をクシャクシャにして笑う佐久間さんに、また胸を締め付けられる。
佐久間さんの気持ちを知りたい。
そう思ってしまうのは愚かな事だろうか。
「…佐久間さん。」
「ん?」
「いえ…何でもないです。
すぐ、作りますね。」
「うん。いつもありがとう。」
あまりにも可愛いらしい笑顔に、私は何も言えなくなってしまう。
“私達の関係って恋人ですか?”
そう聞きかけた言葉を飲み込み、私は食事の支度を続けた。