第7章 想い
こうして彼女と昼休みを過ごすようになって数週間。
放課後の屋上での一時は無くなってしまったが、彼女とは以前よりも会話が増えたと思う。
それはきっと愛美先生のお陰だ。
いつも愛美先生は私達に会話のきっかけを与えてくれていた。
「愛美先生は?トイレ?」
「うん。すぐ戻って来るよ。」
「ねぇ、先生。
好きな人とはどうなったの?」
「え?」
「この前言ってたじゃん。好きな人がいるって。」
彼女の言葉に、思わずコーヒーを吹き出しそうになってしまった。
何て勘が良いのだろう。
今朝の出来事に顔がゆるんでいただろうか…。
確かに彼女には佐久間さんの事を打ち明けたが、さすがに今朝の出来事を生徒に話す事は出来ない。
それでも、彼女は興味深いといった表情で私を見つめている。
…彼女とさらに打ち解けるチャンスなのだろうか?
いや、添い寝をし、手を繋いだなど生徒に言える訳がない。
どうにかして話をはぐらかさねば。
そう思ったその時だった。