第6章 距離感
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愛美先生がお土産だと言ってくれたのは、昨日佐久間さんが冷蔵庫にしまっていた物と同じ明太子だった。
「これが一番美味しいんだって。」
「福岡…ですか?」
「そう。他の先生達には内緒ね。
思いきって行って来たの。
楽しかった~。」
「観光…ですか?」
「ふふっ、それは秘密。
恥ずかしいじゃない。」
昼休みの保健室。
わずかに頬を赤くする愛美先生を見て、恋人とのデートであった事を確信した。
それにしても佐久間さんといい、愛美先生といい、福岡に何があるのだろう。
有名な観光スポットでのイベントでもあったのだろうか。
「橘先生はさ、旅行とか行かないの?」
「…あまり行かないですね。」
「そうなんだ。」
愛美先生はいつものようにコーヒーを2つとココアをいれてくれた。