第6章 距離感
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「やっぱり美味しい。」
私の作ったお味噌汁を飲み、佐久間さんは笑顔を見せる。
そのクシャクシャの笑顔は私にとって最高のご馳走だ。
「明日も寒そうだね。」
「そうですね。」
佐久間さんはテレビの天気予報を見ながらそう話す。
テレビを見ながら食事をするなど、初めての経験だ。
「でも、先生は北海道出身だからこっちの寒さなんて平気でしょ?」
「そんな事ないですよ。」
「函館って雪多いの?」
「北海道の中では少ない方だと思います。」
「去年の秋に行ったんだよ、北海道。
仕事だったから全然観光出来なかったんだけどね。」
「…札幌ですか?」
「そう、札幌だけ。」
札幌に美容室の支店でもあるのだろうか。
詳しく聞きたい思いもあるのだが、何となく仕事の話はさけたい。
今は日常を忘れ、ゆっくり佐久間さんと食事をしたい。