第6章 距離感
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「私も昨日観たよ。“倉田理子”のでしょ?」
彼女はそう言いながらパンを頬張る。
「もう一人の女優って、名前なんだっけ?」
「“神田美咲”。」
「そうそう、“神田美咲”。
二人とも綺麗だった。来週も観たいくらい。」
「先生ってドラマとか観るんだ?」
「昨日はたまたま観たの。」
昼休みの保健室、二人で昼食をとる。
愛美先生がいないせいか、今日の彼女はわりとよく喋ってくれた。
「ねぇ、愛美先生どこ行ったの?」
「聞いてない。」
「聞いてないって、“友達”なんじゃないの?」
「今回は知らないよ。
それに、私達は友達じゃなくて同僚。」
「ふーん。」
昨日から二日間、愛美先生は有給休暇を使っている。
どこへ行っているのかは私も知らない。
「彼氏と旅行かな?」
彼女はそう笑う。
愛美先生に彼氏がいるとは聞いた事がない。