第6章 距離感
ふと、テーブルの上を見ると、テレビのリモコンが置かれている事に気が付いた。
手を伸ばせば届く距離だ。
コロが起きるまで、テレビでも観て過ごそうか。
家にテレビが無い私にとっては、珍く観てみようという気持ちになった。
そのくらいしかする事がないというのもあるのだが、このまま佐久間さんに関するおかしな妄想をするのは嫌だった。
テレビの電源を入れると、ちょうどテレビドラマが始まっていた。
医療系のドラマだろうか。
テレビ画面には、ドラッグストアーの化粧品売り場にあるポスターでよく目にする女優が映っていた。
その隣に映っている女優も、名前は知らないがよく見る顔だ。
テレビドラマどころか、映画館すらほとんど行った事のない私にとっては、それはとても新鮮だった。
一時間…「ミャー」と、突然コロが伸びをするまでの間、うかつにもテレビに見入ってしまった。