第6章 距離感
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うたた寝をしてしまっていたようだ。
ハッと目を覚ますと、膝の上でコロが丸くなって眠っていた。
気持ち良さそうにゴロゴロと喉を鳴らしている。
安心しきったような寝顔。
愛おしくなり、小さな額を優しく撫でた。
一瞬、自分がどこにいるのか分からなかった。
広すぎるリビング。
ソファーと向かい合うように置かれた大きなテレビ。
自分のアパートとはあまりにもかけ離れた空間に、未だ夢を見ているようだ。
泊まっていってもいいからと佐久間さんは言っていたが、さすがにそれは無理だ。
時計を見ると午後10時。
今から帰っても遅くはない。
しかし、膝の上でコロが眠っているせいで身動きがとれない。
ゆっくりソファーの上に下ろそうかとも思ったが、起こしてしまっては可愛いそうだ。
もう少しこのままでいよう。
終電に間に合えばいい。
そう思い、優しくコロの頬を撫で続けた。