第5章 条件
「これから家に来ない?」
「これから…ですか?」
「うん。ごめんね、急に。
実はさ、明日からまた仕事で家を空けるんだよね。
だから猫の世話を頼もうと思って。」
「もちろんです。」
「じゃあ、これから車で迎えに行くよ。」
「あっ…はい。」
思ってもいなかった展開に驚いたが、子猫の世話を考えれば自然な事だ。
これから佐久間さんに会える。
それどころか、佐久間さんの家へ行く。
まるで恋人同士…と舞い上がってしまうのは愚かな事だろうか…。
「あの…佐久間さん、ご飯もう食べましたか?」
「いや…まだだけど。」
「良ければ、何か作りますよ。」
「本当?嬉しい。」
「何か食べたい物はありますか?」
「カレーがいいな。」
「…カレーでいいんですか?」
「うん。カレーが食べたい。」
「分かりました。」