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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第5章 条件






バスを降りた時だった。

コートのポケットの中、携帯電話が鳴り出した。

相手は…佐久間さんに違いない。

はやる気持ちを抑え、携帯電話を取り出す。

画面に映し出される佐久間さんの名前。

心臓の鼓動が早まるのを感じつつ、深呼吸をして電話に出た。



「はい…橘です。」

「あっ、佐久間です。
メールありがとう。今大丈夫かな?」

「はい。」

「猫は元気だよ。
意外と俺の家が居心地良いみたい。」

「そうですか、良かったです。」



声を聞いただけで、佐久間さんが笑っている事が分かる。

顔をクシャクシャにして笑う少年のような笑顔。

佐久間さんの声が聞こえる右耳が熱い。

まるで好きな人と初めて電話をする女子中学生のようだ。

あいにく私にはそのような経験はないが、きっとこんな気持ちなのだろう。



「もう家にいるの?」

「いえ、今バスを降りたところです。」

「今日はこれから何か用事ある?」

「いいえ…ないですけど。」






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