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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第5章 条件


◇◆◇



すっかりタイミングを逃してしまった。

時刻は午後7時を少しまわった所。

帰りのバスにゆられながら、携帯電話でメッセージを送る。

相手はもちろん佐久間さん。

子猫の様子を伺う内容の短いメッセージだ。



佐久間さんはまだ仕事中だろうか。

美容師ならきっと帰りも遅いはずだ。

そうなると、今頃子猫は暗い部屋で一人ぼっち。

本当は、今すぐにでも様子を見に行きたい。



携帯電話をコートのポケットにしまい、座席にもたれる。

ふと、車窓に映る自分の顔に目が止まった。

相変わらずの疲れた表情。

それでも以前とは明らかに違う事がある。

それは“好きな人”がいるという事。

ただそれだけの事なのだが、今の私を動かしているのは間違いなく佐久間さんの存在だ。



きっと…私は自分で思っていたよりも“単純な女”なのかもしれない。






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