第4章 種
それに加え、私の身勝手な行動で佐久間さんに負担をかける事にも抵抗があった。
後先考えずに子猫を拾ってきたのは私だ。
よって、これは私自身の問題。
それを佐久間さんに押し付けるような形になってしまうのは嫌だった。
「迷ってる?」
「え?」
「先生、すぐ顔に出るから。」
「あ…すみません。」
佐久間さんの言う通り、私は顔に出やすいタイプだ。
あれこれと考え事をすると、つい怖い顔になってしまう。
それでも、やはりここはしっかり考えて答えを出したい。
素直に佐久間さんへ預けるべきか…それとも引っ越すなり、里親なりが決まるまで何とかやり過ごすべきか。
………やはり「お願いします。」とは言えない。
「そんなに深く考えなくてもいいよ。」
「いえ…」
「俺、本当に猫好きだしさ。
それに預かるって言っても“条件”があるし。」
「条件…ですか?」
「そう、条件。」