第4章 種
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佐久間さんの膝の上で気持ちよさそうに眠る子猫に、わずかに嫉妬心が芽生えた…なんて言うのは大袈裟だが、少しだけうらやましいとは思ってしまった。
「もう大丈夫だよ。
子猫って言っても、もう生後3ヶ月位は経ってるんじゃないかな?
体力もありそうだから、少し様子をみよう。」
部屋に入るなり、佐久間さんはローテーブルの下でうずくまる子猫に気付いた。
「俺、猫大好きなんだよね。」
と、笑いながら慣れた様子で牛乳を与え、身体をブランケットで温めてくれた。
その間に、私は佐久間さんから指定された子猫用のフードを買いに行って来た。
右も左も分からない私はすっかり佐久間さんに頼りきってしまった。
そんな佐久間さんには子猫も気を許したのか、先ほどから膝の上で静かに寝息を立てている。
「実家で飼ってたんだ。5匹も。
そのうち3匹はうちで産まれた猫だったからさ。」
そう笑いながら、佐久間さんは子猫の額を優しく撫でる。
安心した表情で眠る子猫が何だかとても愛おしく感じた。