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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第4章 種


何とか呼吸を整え、ベンチから立ち上がる。

その瞬間、どこからか動物の鳴き声が聞こえた。



キツネだろうか…いや、ここは東京の住宅街。

故郷の北国のように夜な夜なキツネが現れたりなどしない。

耳を澄まし、鳴き声の方向を探る。

か細い鳴き声ではあるが、それは猫の鳴き声のようだった。



一体どこで鳴いているのだろう。

今までこの辺りで野良猫を見た事などない。

遠くで鳴いているようにも聞こえるが、近くにも感じる。

辺りを見回すが、猫らしきものはどこにもいない。



ふと、以前にもこんな事があったような気がした。

デジャブとでも言うのだろうか…。

あれは確か小学2年の夏休み。

家の近所の公園で子犬を拾った。

あの日も、こんな風にどこからともなく犬の鳴き声が聞こえてきたのだ。



私は身体を屈め、ベンチの下を覗き見る。

そこには無造作にガムテープを貼られた段ボールが置かれていた。






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