第4章 種
いや、もう考えるのはやめよう。
彼女達の事に関して、私は完全な部外者だ。
他人の恋愛をとやかく言う権利など私には無い。
ただ一つだけ言えるのは、誰にも知られてはいけないという事。
もし誰かに知られでもしたら、彼女も村瀬先生も学校にはいられなくなる。
とくに村瀬先生には厳しい罰が与えられるだろう。
彼女はこの事を誰かに話しただろうか。
私以外の誰かに。
もし私だけに話してくれたのならば、内容はどうであれ、それはそれで単純に嬉しかったりもする。
色々と心配事は尽きないが、やはり私は彼女が可愛いのだ。
そろそろ家へ帰ろうか。
さすがに身体が冷えてきてしまった。
いくら雪の降らない東京の冬でも、夜になるとそれなりに寒さを感じる。
残りのビールを一気に流し込む。
ぼんやりしていたせいか、気管に入り思わず咳き込んでしまった。