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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第4章 種


「そんな怖い顔しないでよ。」



戸惑う私の隣から、彼女はゆっくりと立ち上がった。

スカートの埃を払い、屋上の手すりへともたれる。

その後ろ姿が泣いているように見えた。



そんな彼女に、私は何を言おう。



“私が力になるよ”

模範解答の言葉は、とても薄っぺらいものに感じた。



「…学校、辞めないでよね。」

「何で?」

「卒業してほしい。」

「別に一人くらい辞めたっていいじゃん。」

「ダメ。」



言いたいのはこんな事ではない。

どうして大切な時ほど言葉が出なくなるのだろう。

正直、事なかれ主義であった自分が、生徒の事でこんなにも悩む日が来るとは思ってもいなかった。



「辞めないから安心してよ。」

「本当?」

「うん。辞めない。
だって、私……………。」



大人びた表情を浮かべながら振り返った彼女。

そんな彼女が発した言葉に、私は返す言葉を完全に見失ってしまった。

彼女はきっと、私が思っていたよりも“大人”だったのだ。






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