第4章 種
「でも、今はもうどうでもいい。」
「…どうでもよくないよ。」
「ううん。先生の言う通り、ここには最初から“気の合う人”がいなかったのかも。
私、弱くないし。
群れてないと何も出来ないような奴らと違うからさ。
だから、別にどうにかしてほしいわけじゃないから。
逆に先生みたいなのが関わると余計面倒くさい事になりそうだし。」
そう笑いながら話す彼女の言葉は、どこか強がりに聞こえた。
彼女は私とは違う。
彼女が今までどのような人生を歩んできたのかは知らないが、それでも今回の件では酷く心を痛めたに違いない。
誰に打ち明ける事もせず、たった一人でその痛みと闘っていたのだろう。
そんな彼女の心を、相手の女子生徒は自らの手を汚さずに、少しずつ少しずつ傷付けていったのだ。