第4章 種
…彼女はどうだろうか。
長身で誰もが振り返るような美少女。
どちらかと言えばクラスの中心にいるタイプだ。
高校に入学してからはいつも一人だったが、中学時代はきっと今とは状況も違っていただろう。
彼女は…今の自分自身を“惨め”だと思っているのだろうか?
チラリと見えた彼女の横顔はうつむいていた。
薄々は気付いていた。
彼女が抱えているであろう悩みの根底にあるのは人間関係であると。
そもそも16歳の悩みなど、元をたどれば全て人間関係だ。
逆に言えば、人間関係が良好であれば高校時代の3年間などあっと言う間に過ぎ去る。
彼女が欠席を繰り返していた事も、退学を望むかのように屋上でタバコを吸っていた事も、全ては人間関係のもつれ…いや、人間関係を上手く築く事が出来なかった事が原因だったのではないか。
全ては私の憶測ではあるが、あながち間違いではないだろう。