第4章 種
「何か意外。」
「何が?」
「先生と愛美先生って全然“違う”じゃん。」
「そうだね。」
「愛美先生って何か派手だし…」
「私は地味だからね。」
「…派手ではないよね。」
彼女の言わんとしている事はよく分かる。
私と愛美先生では全くタイプが違う。
タイプどころか“住む世界が違う”と今でも思う。
もし、私と愛美先生が学生時代にクラスメイトとして知り合っていたなら、一言も話す事なく卒業しただろう。
愛美先生はクラスの人気者。
周りを取り囲むのも美人ばかり。
そんな愛美先生の笑い声が響く教室の端で、私はただ本を眺めているのだと思う。
「良かったね、“友達”が出来て。」
「友達じゃないよ。“同僚”って言うの。」
「でも仲良いんだよね?友達じゃん。」